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ヨーロッパ和物便り
■グレース・ジェームス著 "Japanese Fairy Tale (日本のおとぎ話)" 日本の昔話を西洋に紹介した作家といえば、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)ですよね。今日は、この有名な小泉八雲の本ではなく、グレース・ジェームスという女性作家が編集した本の紹介です。イギリスの童話作家として知られた人のようで、この本も、「日本の昔話」というよりは、ヨーロッパのおとぎ話のような趣が否めません。ヨーロッパ人が読んでも、日本人が読んでも、何やら異国趣味な情緒がある本のように思います。 実は、この本、ロンドンの、とあるバーゲン本の店で偶然みつけました。バーゲン本屋というのは、新品の本を安売りしている店です。イギリスでは、古本でなくとも、出版から数ヵ月以上経過した本が、このような店でたたき売られることがあるのです。この本も売れなかったのでしょうかね。 "Japanese Fairy Tale(「日本のおとぎ話」)"というペーパーバックです。1912年に出版された"Green Willow & Other Fairy Tales (「青柳、その他のおとぎ話」)"の改定版だそうです。ウォーウィック・ゴーブルという、妖精画家が挿絵を描いています。 38話からなり、「ぶんぶく茶釜」、「浦島太郎」、「花咲か爺さん」といった、日本では子供の読む昔話もあれば、「牡丹灯篭」「玉藻の前」などの怪談っぽいもの、「竹取物語」、「安珍清姫」、「八百屋お吉」、「織姫とひこ星(これは日本ではなくて中国のお話なのですが...)」などの恋物語(主に悲恋もの)も納められています。 全体的にみて、子供用のおとぎ話ではなく、エキゾチズムに満ちた恋物語。それも、ロマンホラー的色彩を帯びた物語に編集されているような印象です。登場人物達は、着物をまとった黒髪の美女であり、凛々しい若い武士であったりするのですが、雰囲気としては、「和」ではなく、ヨーロッパの中世のおとぎ話か、ビクトリア朝に流行った妖精物語に近いような気がします。物語中に引用されている歌も、吟遊詩人が詠っているもののように翻訳(もし、創作でなく翻訳としたら)されていますし。 それと、挿絵。絵としては、美しいものです。20世紀初頭に描かれたものとしては、着物や髪型の描写も、日本画に影響を受けた画家だけあって、そんなにひどいわけではない。でも、全体的印象としては、ビクトリア朝の妖精画のそれですね。例えば、かぐや姫の背中には、西洋の天使のような大きな翼が生え、着物の裾は、なぜか孔雀の羽になっていたりします。 これらの挿絵と文章の組み合わせで、「日本昔話」もエキゾチックなロマンホラーに。何やら、ジワーっと恐いものがあります。梅雨明けには、ちょっと変わった納涼対策をいかがでしょう。 ▼アマゾンUK "Japanese Fairy Tales" http://www.amazon.co.uk/Japanese-Fairy-Tales-Grace-James/dp/0788153978/ref=sr_1_55/202-8203564-1073441?ie=UTF8&s=books&qid=1185291983&sr=1-55 ▼"Moon Maiden and Other Japanese Fairy Tales" http://www.amazon.co.uk/Maiden-Other-Japanese-Fairy-Tales/dp/0486443922/ref=sr_1_17/202-8203564-1073441?ie=UTF8&s=books&qid=1185291810&sr=1-17 ▼挿絵画家、ウォーウィック・ゴーブルについて "Star Lovers (織姫とひこ星)"や、"Moon Maiden (竹取り物語)" の挿絵が掲載されています。 http://www.bpib.com/illustrat/goble.htm ▼"The flute(笛)"挿絵。 その他の挿絵数点もこのサイトのメニューから見ることができます。 http://www.klingarts.com/pp/goble/goble_41.html ▼牡丹灯篭の挿絵 http://www.hangloosestudio.com/images/Warwick_Goble.jpg ところで、このコーナー、私事により、しばらくお休みをいただきます。再開のご挨拶をさせていただくまで、どちら様も、よい"和"の夏をお過ごし下さいませ。 |
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