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香野 恵
Vol.20 「新春浅草歌舞伎」(更新日:2007.01.12)
1月2日(火)〜26日(金)浅草公会堂にて公演中の新春浅草歌舞伎に行って来ました!

「新春浅草歌舞伎」

浅草の写真 新春浅草歌舞伎は毎年、中村兄弟や中村獅童など若手が活躍する舞台を見せてくれますが、今年は市川亀治郎がお休みです。NHK大河ドラマ「風林火山」に出るので、忙しそうですね。

私が観劇した1月7日(日)は「着物で歌舞伎の日」でした。受付から舞台案内係からお客様から、みーんな着物です。小学生くらいの小さな女の子までお振袖でやって来て、ほほえましい光景でした。男の人も袴姿で来てたりして、うーん、なんだか眼福です。着物姿の男の人って、なかなか見られない上、こんなに素敵に着こなしてらっしゃる方ばかりってめずらしいかも。うっかり洋服で来てしまうと(私だ!)逆に目立って恥ずかしい? 大丈夫、半天を貸してもらえます。

まずはお年玉(年始ご挨拶)。日替わり、回替わりですが、今回は片岡愛之助くんです。新年慶賀の挨拶と、本日の演目の説明をよどみない口調でしてくれます。

私が見たのは2部。演目は、「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」の渡海屋・大物浦、それから新古演劇十種の内「身替座禅(みがわりざぜん)」です。……「身替座禅」はともかくとして、渡海屋・大物浦って……新年早々辛気くさい演目だ。なんでこれ? やりたかったのか要は。

「義経千本桜」はどれもこれも有名なわりに、話はそれぞれバラバラなので通しでみたことがある人ってほとんどいないんではないでしょうか。ひとつひとつはとっても見応えがあって派手なので、しょっちゅうどれかは上演されますが。

それで今回上演の渡海屋・大物浦というのは、義経逃亡を軸にし、平家がメインのお話です。兄・源頼朝に追われ、都落ちした義経主従が、摂津で船宿「渡海屋」に身を潜めていると、しつこい追手の探索が。北条の家来、相模五郎(中村亀鶴)は、船宿の女房お柳(中村七之助)に、宿あらためを申し付けます。抵抗するお柳。取り押さえられそうになりますが、そこに船宿の主人、渡海屋銀平(中村獅童)が帰って来ます。銀平は相模五郎を叩き出し、義経たちを匿い通します。感謝する義経(中村勘太郎)と武蔵坊弁慶(市川男女蔵)ほか、家来たち。

しかーし! 船宿の主人銀平とは仮の姿、その正体は源氏に滅ぼされた平家の大将、平知盛(歌舞伎にありがちなすごい展開……)だったのでした。女房お柳は典侍の局、娘は入水したはずの安徳帝が身をやつしていたのです。

知盛は白装束に身を固め、義経を追って再び海上で戦いを挑みます。
しかし武運つたなく、またも破れることに。女房たちはことごとく入水、知盛自身も、自らの体に碇を巻き付け、身投げします(見どころ! 碇知盛と呼ばれ、ここだけ歌舞伎教室で上演されたりするくらいです)。明日は我が身、と冥福を祈る義経主従。

こうやって書くと、ほんと筋はめちゃくちゃですねえ。が、歌舞伎にストーリーテリングを求めてはいけない(笑)。

というわけで、敗残者が再び破れ、勝った側も実は逃亡者という、大変辛気くさい話なのでした。ひと言でいえば壇ノ浦再びなんですが、平家が敵と狙う義経も今となっては逃亡者の身の上、派手な知盛の死に方とあいまって、なかなか切ないわけです。

中村獅童は今回大役のしかも初役ということで、相当頑張ってました。ロビーにもたくさんの花が。さすが売れっ子です。舞台の方はまーあんなもんかなと思いましたが。しかし、どうしてもプライベートと重なってしまいますね、ああいう悲壮感にあふれた役を演じられると。

えーと、2幕目は「身替座禅」。明るく楽しいコメディです。昨年の六月大歌舞伎からこっち、しょっちゅう上演されてます。わかりやすいからでしょうか。女好きの山蔭右京は中村勘太郎、身替わりに座禅を組む太郎冠者が中村亀鶴、そして奥方玉の井は、挨拶をした片岡愛之助でした。この方は片岡仁左衛門のご親戚なので、なんとなく六月のそれと重なる印象でしたね。演じ方はもちろん違うんですが(2006年6月の歌舞伎座感想はこちら)。

中村勘太郎は、スケベな酔っぱらいを嬉々として演じておりました。おかしい、酔っぱらうのは弟の方が得意……いや、げほげほ。中村亀鶴との掛け合いは楽しかったです。片岡愛之助演ずる夜叉のように嫉妬深く、夫にべた惚れの(ややうっとうしい)女房も笑わせてもらいました。いや、新年らしいいい演目です。3人とも若手で巧いと定評あるし。

最後に「着物の日」ということで特別に挨拶がありました。全員基本的には、趣旨に賛同して着物で来てくれてありがとう、また来てね、というのが主眼なんですが、やっぱりそれぞれ個性が。

まずは愛之助(衣装は玉の井のまんま(笑))。自分でも、変ですね、この衣装で挨拶ってと言ってました。
獅童は挨拶も力が入ってました。背水の陣なんでしょうかね……。
勘太郎も衣装そのまま。「女の敵でございます」は笑わせてもらいました。それから亀治郎出演の風林火山、本日オンエアをアピールしてました。いい人だ。
七之助は今回は年賀挨拶はしないそうで……。緊張している、と言っていて、ほんとに緊張してました。
亀鶴は着物でわざわざ観劇してくれたことにお礼を言ったあと、明日から「普段着で歌舞伎の日が始まります、もちろん着物でもOK」とギャグに走っていました。
しかしトリで挨拶の男女蔵はもっとふざけていて、なぜ水着の日はないんだ!と言っていました。あれは自分が着るということなのか? 観客の私たちが着るということなのか? すみませんが、もしやるなら新春は勘弁して下さい。1月の浅草公会堂は寒いです。

最後は愛之助の三本締めで終了。新春らしい、楽しいお開きとなりました。

▼中村屋公認ホームページ
http://www.mypixel.co.jp/kabuki/index.html

▼中村獅童 on line
http://www.shidou.jp/

▼片岡愛之助公式サイト
http://www.ainosuke.com/

▼中村亀鶴公認・応援サイト
http://www015.upp.so-net.ne.jp/kikaku/

▼市川亀治郎公式サイト
http://www.kamejiro.net/

▼歌舞伎美人 松竹・歌舞伎公式ウェブサイト
http://www.kabuki-bito.jp/



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