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お稽古体験レポート!

写真:幸田美香
幸田和香
Vol.05 日舞「坂東以津緒先生のお教室」中編(更新日:2006.03.24)
踊りの稽古をつけていただいて初めて、仕草や小道具の意味を知りました。ちょっと分かるだけで舞台鑑賞の楽しみが増えそうです。

日本舞踊 坂東流「坂東以津緒先生の日本舞踊教室」中編
−踊りは何を表現しているのか?−


わたしは、踊りの舞台を二度ほど観たことがあるだけです。歌舞伎は一度も観た事がありません。

日本舞踊は歌舞伎から生まれたと言われているのですが、その元の歌舞伎を知らないからか、ただ、静かな踊りだな、賑やかな踊りだな、と舞台全体の雰囲気を眺めていただけでした。それぞれの物語の背景や内容などが分かれば、踊りも楽しんで観ることが出来るだろうし、お稽古の動機にもなるのだろうなと思っていました。そこで、折角の機会なので、先生に思い切って、踊りは何を踊っているのか? という素朴な疑問をぶつけてみました。

踊りは、歌舞伎の中の1ジャンルから独立して発展したもので、日本の歴史上の人物を登場させた物語のあるものや、江戸の頃の庶民のなかの出来事や恋愛感情を表現したもの、能に題材を取ったもの。もう1つ、所作事、これが今の日本舞踊の歌舞伎踊りだそうです。 わたしが稽古をつけていただいたのは、『お江戸日本橋』といい、江戸庶民の視線から見た情景や感情が表現されているものになります。先生から噛み砕いて教えて頂いたその内容は、簡単なようですが、とても重層的なものでした。

稽古風景1
提灯の灯りをそっと吹き消す様子を踊っ
ているつもり。
例えば、最初踊り手は、日本橋を旅立つ旅人として舞台に出てきます。見送る人に行って参りますと挨拶をしたかと思えば、同じ踊り手が次に大名行列の情景を描写する側となります、さらに進んだ場面では、品川あたりまで来たときに夜明けの空を見上げて提灯の灯りを消す旅人本人に戻る、といった具合でした。物語で言えば、「わたし」の会話に、三人称の語り手が入ってきたりというような具合に喩えられるでしょうか。

一人の踊り手が登場人物としての仕草だけでなく、感情を表現したり、周りの情景を表したりします。ひとつひとつの所作で、踊り手の表す状況や気持ちが、本来なら観ている側には分かるのだそうです。

それでも、わたしは「わからない」という顔をしていたのでしょうか。先生はこんなお話をして下さいました。

「着物で生活していたころには、仕草ひとつをみても、あ、ナニナニしている様子だとすぐ分かったけれど、今は生活が変わってまず着物でないという点ひとつとっても、着物の袖をこんな風に扱うとなにか物を手に取ろうとしているのだなとかいう簡単なことさえ理解できず、説明が必要になってます。着物で生活することが当たり前だったときのことが題材だから、それが分かれば難しくないですよ。」

そうかあ、だから、日本舞踊の稽古をつけていただくときは、着物で行うのかとも納得しました。踊りの表現を理解するには、やはり着物を実際に身に纏わないと物語の内容に現実感が出ないのかもしれません。

稽古風景2
扇が提灯に見立てられている。屈みこん
で静かに息で灯りを消す場面。
それから、扇子が場面により色々な道具に化けている、ということも教えていただきました。先の「お江戸日本橋」の中の最初、傘を持って舞台に出てくる場面では、広げた扇は「菅笠(すげがさ)」に見立てられていますが、次に夜明けに提灯の灯りをフッと吹き消す場面では、同じものが「提灯」に見立てられています。 知らないままで観る側に回っていたら、お江戸日本橋のこの踊り手は扇を手にして何をしているのだろうかと分からないままだったと思います。これは、落語で、扇子が徳利になったり、刀になったりといろいろ変化するのと同じようなことなのだと理解しました。

踊り手の表現するものは、ただ仕草だけでなく、感情、情景だったこと。小道具も、いろいろな物に変化すること。この2つを教えていただいただけで、今後踊りの舞台を観るときには、以前より少しぐらいは想像が働いて情景も読み取れるようになり物語の内容に入っていけるかなと、楽しみが増えました。

前編 −何を基準に拍子を取るの? 何にお辞儀するの?
後編 −「踊り」の歴史と、それぞれの流派


坂東流日本舞踊教室(坂東以津緒)

坂東流病稽古所画像2
坂東流舞踊稽古所
稽古場風景画像
稽古場風景
住所
神奈川県横浜市西区中央2-43-13
(京急線戸部駅又は相鉄線西横浜駅から徒歩5分)
電 話 045-321-3047
入門料 10,000円
お月謝 12,000円(一般)/8,000円(子供・高校生まで)
お稽古日
月・水;13時〜21時/土曜日:10時〜18時
※毎月10回程度の稽古日となります。
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坂東以津緒 プロフィール
坂東以津緒師匠
坂東以津緒先生

2才より日本舞踊をはじめ、3才で初舞台をふむ。15才で坂東流師範を許され古典を中心に勉強し舞踊の道を志す。

平成7年8年と日本舞踊社主催みそみ会で「年増」「まかしょ」にて入賞。平 成8年より日本舞踊協会主催の新春舞踊大会にて「供奴」「玉屋」で奨励賞、「源太」「年増」「流星」で大会賞、平成13年度特別賞文部科学大臣奨励賞をもって卒業し現在にいたる。

古典舞踊をライフワークとすると同時に、創作研究グループにも所属し作品づくりに関わり振付も手がける。現在、横浜に稽古場を持ち指導をしながら古典、創作を問わずいろいろな舞台に出演している。



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